隼 1型・2型・3型の違い

隼には世代がある。1型、2型、そして最新の3型。隼はバイクだから、数字が進むということは進化しているってことになるんだけど、ぼくが言いたいのはどれが上とか下とかという話ではなくて、スペックの違いでもなくて、性格と思想って話。

例えば、1型で初代の隼は電子制御が少なく、乗り手の技量がそのまま走りに反映される。荒削りのままの野生。速いから尊いのではなく、誤魔化しが効かないから、美しい。だから、扱いやすくはないし、優しくもない。けど、走り終えたあとに残る感覚は特別。「俺が走った」ではなく「走らせてもらった」。そう感じるから1型の隼は唯一無二の存在。

一方、2型の隼は進化したバイク。排気量も電子制御も増え、懐の深い走りができて、速さはより簡単に、そして、より滑らかになった。2型の隼には洗練さと余裕のある強さがある。例えるなら、1型隼が刃で、2型隼は研ぎ澄まされた刀という感じ。乗りやすさの中に、静かで確かな狂気が残っている。それが2型の魅力だと思う。

そして、3型の隼。電子制御、ライディングモード、ABS、そのほか最新のものが装備。今の時代が求める安全と快適をすべて手に入れた隼。現代という時代の答えを持っているバイク。速いし、安定もする。迷いなく走れるバイク。3型は「人を選ばない」。それが良さであり、個性でもある。成熟してるから、歩み寄る姿勢を持った隼だと思う。

世代によって、いろんな面を持っている隼だけど、違いは性能じゃなく、向き合う姿勢が変わるということ。つまり、

1型は挑むバイク。
2型は付き合うバイク。
3型は任せるバイク。

そんな感じ。どれが正しいとうわけじゃなくて、ただ、乗り手の答えが違うというだけ。そんな中、ぼくが選んだバイクは1型の隼。理由は単純。「誤魔化しのきかないバイクで走りたい」、そんな感じ。経験や年齢ではなく、“今の自分”がそのまま走りに現れる感覚がほしい。

1型の隼は手が掛かる。機嫌を取る日もある。扱いを間違えれば痛い目を見ることもある。けど、その不器用さに、時間をかける価値があると思う。隼は3世代あるけど、選ぶとしたら性能ではなく、自分の生き方に合うかどうかで選んだ方がいいかも。これが、ぼくの見てきた隼の違いだ。

隼1型(前期)と2型(後期)の違い