メディアにも出ない中華料理店がある。よく言われる町中華というものとはちょっと違っていて、中の作りはダイニングバー、しかし料理は本格的な中華料理という変なお店。コックは中国人で、本場中国でも今は食べられてない昔ながらの中華料理を提供している。そんなお店に、初めて行ってみた。
料理を注文しようとした時、中からコックが出てきて、お腹の具合を聞いてくる。がっつり食べたいのか、それともあっさり食べたいのか、それを聞いてくる。僕は、がっつりもあっさりもじゃなくて、ただお店が気になっていて、その本格的中華料理というやつを食べてみたかったのだ。メニューを見たらいくつか気になる料理があったので、それについて話すとコックは、「これとこれを食べたいなら、この和え物もオススメ」と言い、さらに「この料理にはこのドリンクがオススメ、今は夏だからね」という具合にメニューを決めてくる。まぁ、はじめてのお店だったし、どんな料理かもわからなかったから、決めてもらう方が僕としてもありがたい。コックはさらに続ける。オーダーした料理の一つ一つがどれだけ手間や時間をかけて作ったものなのか、スパイスの話や秘伝のタレなどの話もしてくる。なかなか厨房には入らなくてすぐに料理を作ることはしなかったけど、話が面白かったし、熱量もすごかった。
聞くところによれば、このお店はとても人気店らしい。ただメディアには出ていないから、あまり知られていないというか、知る人ぞ知る店という感じ。主に外国人が多く、中でも米兵や沖縄に観光に来た中国人や韓国人などが多いみたいだ。もちろん地元の沖縄人もいるんだけれど、毎度予約でいっぱいになるお店らしいのだ。そんな店に僕は予約なしで入ったんだが、オーナーは快く引き受けてくれた。本当は予約が必要だったみたいだけど、僕は、開店直後に店に入ったのが良かったらしく、まだお客が入ってなかったから何とか席にありつけた感じだった。今度はちゃんと予約をしていこうと思う。
さて、料理がどんどん運ばれてきた。それらを食べるとマジでうまいし、コックが言った通り他の料理との相性も良い。さらにドリンクもすごくさっぱりして爽やかで、料理がすすむ飲み物だった。
料理を堪能していると、またコックが近づいてきて、料理についていろいろ話してくる。正直、熱量がハンパなくすごくて、情熱というべきか、どれだけ料理に対して愛を込めているかを語ってくるのだ。この店が人気だという理由なんとなくがわかった。これはAIやロボットでは代替えできない店だよね。コミュニティーというべきか、この熱量はAIやロボットでは絶対に出せないし、つたえられない。料理がうまいのはそうだけど、それよりも、このコックの人柄に惹かれて人が集まっている気がする。僕も、このコックの料理をまた食べたいと思ってるし、話も聞きたいと思ってる。コックはおしゃべりが好きだから、なかなか話が切れなかったけど、でもそれが楽しかった。
久しぶりに、人情たっぷりな店に出会えた気がする。AIやロボットがこれから時代を先取っていくけれど、おそらく僕ら人間は、このお店のように仕事も生き方もしていかなければいけないと思う。そんなことを学ばせてもらった。また絶対、食べに行こう。そして、いろいろおしゃべりしてこようと思う。
と、ご覧の通り、ぼくも、今やその店の虜なっているんだよなぁ。