RYUKYU RIDERです。
GSX1300R隼は、1999年の発売開始から2018年まで世界中で売れつづけているバイクです。そんなロングセラーの隼ですが、その間、一度だけフルモデルチェンジが行われました。フォルムはほぼほぼ同じですが、しかし、中身はまったく違います。
というわけで今回は、隼の前期(初代)と後期(二代目)の違いを徹底解説していこうと思います。なお、便宜上、2007年以前の隼を「前期型(初代)」とし、2008年以降の隼を「後期型(二代目)」として説明します。
1.隼の外観について
まず、前期型と後期型の隼の違いとして外観から解説します。隼の外観については、5つの違いがありました。
1-1.ヘッドライトが違う
前期と後期の隼の違いが一目でわかるのがヘッドライトです。
前期型の隼のヘッドライトの形は、縦2灯式のひし形でシャープな感じなのに対し、後期型の隼は逆三角形のヘッドライトになっています。また、後期にはポジションランプが追加された模様です。印象は、だいぶ変わったと思います。
1-2.カウルが違う
隼のカウルは、パッと見た感じ同じように見えますが、実は全く違うものです。
前期の隼のカウルはボルトどめで、そのボルトも外から確認できるのに対し、後期の隼にはボルトがなくフックでとめられています。
この違いはメンテナンス性にも影響しています。つまり、前期型はカウルが取り外しやすいのに対し、後期型はカウルを外すのが少しだけ面倒で、ちょっとコツがいるようです。
1-3.テールが違う
隼のテールランプは前期と後期とではまったく違いますね。
前期の隼は小さめのテールランプに対し、後期の隼は大きなつくりになっています。また、テールウインカーも前期の隼は四角い形のウインカーで、後期の隼は埋め込み式になっています。このテールのデザインは、人によって好みがわかれるようです。
例えば、前期の隼は「ナメクジみたい」という人もいれば、後期の隼は「エイリアンみたい」という声もあります。
ぶっちゃけ、どっちもカッコいいのでどーでもいい話ですが(笑)、とはいえ、個人的には前期型のシャープなテールが好きです。
1-4.メーターが違う
隼のメーターはフルモデルチェンジで変わりました。
前期の隼はアナログなメーターで昭和チックな印象ですが、後期の隼は飛行機のメーターのような近未来のような感じがします。中央に設けられたシフトチェンジも粋なものです。
後期の隼のメーター、かなりカッコいいです。なんか戦闘機みたいだし、このメーターが好きな人も多いことでしょう。
1-5.サイレンサーが違う
隼の外観の違いの最後は、サイレンサーです。
前期の隼のサイレンサーは、銀色一色で丸い筒のような形をしています。一方、後期の隼のサイレンサーは三角錐のような形をしており、排ガス規制のせいかとても大きく、色は黒です。
画像を見てもわかると思いますが、前期の隼のサイレンサーはスマートですが、後期の隼のサイレンサーはかなりデカイですよね。見た目、後期の隼の方がバランスが悪くて不恰好です。なので、社外品のヨシムラマフラーなどに変更すればもっとカッコよくなるとおもいます。
前期の隼は、個人的に純正でもいいと思いますが、ヨシムラのスリップオンマフラーにカスタムしてもカッコいいと思います。
2.エンジンが違う
では、2つ目の違いです。
隼のエンジンは前期と後期でだいぶ違います。フルモデルチェンジをしてから進化してきました。
まず、馬力がアップしました。前期の隼は「175PS」ですが、後期の隼は「197PS」です。後期の隼は、約22馬力もアップしていますね。
他には「エンジンバルブ」の素材が違います。前期隼のエンジンバルブは「鉄製」なのに対し、後期隼のエンジンバルブは「チタン製」です。
鉄製のエンジンバルブ(前期隼)は重く、錆びやすいというデメリットがありますが、柔軟性があり長く保つことができるバルブです。ただ、前期型の隼はエンジンのレスポンスに多少のドンつき感があるのですが、その主な理由はCPUとそして鉄製バルブだと言われています。
一方、チタン製のエンジンバルブ(後期隼)は、錆びにくく、軽くて強いというのが特徴です。しかし、高価というのが難点で販売価格が跳ね上がってしまうのは痛いところです。ただ、チタンバルブはエンジンレスポンスが緩やかというか、滑らかな感じになるようですので、後期型の隼は、前期の隼と比べてクセがなくとても乗りやすいバイクとなっています。
さて、ここからは少し意見をば。
チタンバルブは良いようにみえますが、個人的には鉄製のエンジンバルブを支持します。理由は、チタン製のエンジンバルブは摩耗性と展延性が悪いからです。そのため、ストレスがかかるとポキっと逝ってしまう恐れがあるんじゃないかと思います。それを考慮してか、チタン製エンジンバルブには特殊コーティング剤が施されているんですが、それも微妙な感じです。というのはコーティングされたチタン製バルブでも耐久性に少し疑問があるからです。
例えば、トヨタのアルテッツァにもチタン製のエンジンバルブが使用されているのですが、チューニングして馬力アップすると、すぐにエンジントラブルがおきるというのは有名な話です。中には実際にバルブが折れたという話もありますし。。。
これはチタン製バルブが弱いというのが原因だと思うのです。なので、後期の隼に使用されているチタン製エンジンバルブは、個人的にあまり信用していないというのが本音のところです。
とはいえ、まあ、アルテッツァで使用されている時よりも、隼のチタン製バルブは進化していると思いますし(そうであってほしい)、それに隼のエンジンを酷使するような走りはここ日本ではできませんから、何ら心配する必要はないかもしれません(多分)。
3.ボディー剛性が違う
前期の隼と後期の隼のボディー剛性は明らかに違います。
基本的な構成は前期、後期もろとも同じなのですが、エンジンの馬力アップに伴い、後期の隼はボディー剛性がアップしました。数値的に表すと、なんと後期型の隼のボディ剛性は15%もアップしています。
う〜ん、羨ましい。
前期の隼に流用できればいいのですが、たぶん無理でしょう(涙)。
4.ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)の有無
隼のフルモデルチェンジでは、ブレーキシステムも見直されてきました。
簡単にいうと、ABS装置が追加されたことです。つまり、前期の隼にはABSは付いていませんが、後期の隼にはABSが装着されているということです。
また、2013年からの後期の隼にはブレンボブレーキ(brembo)が採用されました。が、これは正規のブレンボとは違っていて正規品と比べると、その効きは劣ると言われており、通称「スズンボ」とも呼ばれたりします。
とはいえ、見た目的に、ブレンボの名称がついたブレーキキャリパーは魅力的だと思いますね。
なお、前期型の隼のブレーキについてはこちらの記事「隼のブレーキはなぜ弱いのか」に詳しく書いてありますので、よかったらどうぞ。
5.電子制御装置の有無
さらに後期の隼には「S-DMS」が採用されました。
S-DMSとは、スズキ・ドライブモード・セレクターの略で、隼のエンジン特性を変更できる電子装置です。その機能はというと「A」「B」「C」の3段階に分けており、「A」はフルパワー、「B」はマイルド、「C」は雨の時のモードで急激なパワーが出ないようにコントロールできるみたいです(こんな機能、前期の隼には付いていません)。
ただ、個人的に思うのは、この装置が壊れたらどんな風になるんだろう、って思います。
例えば、スイッチ部分が故障したらエンジンはかかるのか、仮にエンジンがかかってもモードはどれになるのか、常時フルパワー状態になるのか。なら、初めからフルパワーでいいんじゃないか、と思ってしまいます。
正直、あまり好きな装置ではありません。
6.パーツの豊富さの違い
さて、6つ目の違いは、前期の隼に比べて後期の隼はパーツが豊富です。
これは純正だけに限らず社外品も同様です。
例えば、前期の隼は2007年で終了していますので、純正パーツが手に入らないものも幾分かあります。
一方、後期の隼はまだまだ現役のバイクです。なので、純正パーツは難なく手に入りますし、社外パーツも豊富に開発されています。
この違いはかなり大きいですよね。まあ、機能的な部品は前期の隼もあと10年くらい手に入れることができると思うし後期の隼との共通部品もあるので心配はいりませんが、しかし、前期隼のカウルなどは廃盤になっているものもあるので、今から中古を揃えて、ストックしておいた方が良いかもしれません。
まとめ
さて、これまでの内容を表一覧にして以下にまとめます。
前期の隼 | 後期の隼 | |
外観 | ・カウルが外しやすい ・マフラーがスマート ・メーターが昭和っぽい | ・カウルが外しにくい ・マフラーがでかい ・メーターが戦闘機みたい |
エンジン | 175PS | 197PS |
ボディー剛性 | 時速300kmに耐えられる | 前期型より15%アップ |
ABS | なし | あり |
S-DMS | なし | あり |
パーツ | 純正パーツに廃盤もある | 純正・社外パーツともに豊富 |
これから隼を買おうと思っている方で「前期にしようか」それとも「後期にしようか」と迷っている場合、上記に示した違いを見て判断してはいかがでしょうか。とはいえ、「見た目が好き」という直感的に感じた隼があるのなら、それで選択してもいいと思います。
なお、隼はカラーリングのバリエーションも豊富でいろいろあります。隼のカラーの違いについて知りたい方は「隼の色を一覧にしてまとめてみた」に書いてあるので良かったらご一読ください。