バイクのタイヤは、路面との唯一の接点となる重要なパーツです。タイヤの状態が悪いとグリップ力が低下し、スリップや転倒のリスクが高まります。特に、タイヤが摩耗してくると現れる「スリップサイン」は、安全運転のために必ず確認すべきポイントのひとつです。
この記事では、スリップサインとは何か、どのように点検するのかについて詳しく解説します。
スリップサインとは?
スリップサインの役割と仕組み
スリップサインとは、タイヤの摩耗が進んで溝の深さが一定のレベルに達したときに、タイヤの交換時期を知らせるために設けられた目印のことです。バイクのタイヤには、溝の一部に小さな突起があり、これがスリップサインにあたります。
日本国内で販売されているバイク用タイヤの多くは、スリップサインの位置が1.6mmの深さに設定されています。これは道路運送車両法で定められており、溝の深さが1.6mm以下になると整備不良と見なされ、車検に通らなくなります。
スリップサインが露出すると、タイヤの排水性能が著しく低下し、特に雨天時のスリップリスクが高まります。そのため、スリップサインが見えたら速やかにタイヤ交換を検討する必要があります。
スリップサインの点検方法
目視での確認方法
スリップサインは、タイヤの溝の間に小さな突起として配置されています。タイヤのサイドウォール(側面)には、「△」マークがあり、その延長線上にスリップサインがあるため、まずはこのマークを探しましょう。
- タイヤのサイドウォールにある「△」マークを見つける
- そのマークの延長線上にあるスリップサインを確認する
- スリップサインがタイヤの接地面と同じ高さになっているかをチェックする



もしスリップサインが溝の中に埋もれている場合は、まだ摩耗が進んでいない状態です。しかし、スリップサインが露出している場合は、すぐにタイヤを交換する必要があります。
ノギスやタイヤゲージを使用した測定方法
より正確に摩耗状況を確認するためには、ノギスやタイヤゲージを使用して溝の深さを測定する方法が有効です。
- 測定する場所を決める:タイヤの中央部分の複数箇所を測定します。
- ノギスやタイヤゲージで溝の深さを測る
- 1.6mm以下の場合は交換を検討する
スリップサインが見えなくても、溝の深さが1.6mm以下になっている場合は、早めにタイヤを交換するのが安全です。
コインを使った簡易的な測定方法
専用の測定機器がない場合、コインを使って簡単に溝の深さを確認する方法もあります。
- 10円玉を準備する(10円玉の縁の厚さは約1.5mm)
- タイヤの溝に10円玉を立てて挿入する
- 10円玉の縁が完全に埋まらず、上部が見えている場合は交換時期が近い
この方法はあくまで目安ですが、タイヤの摩耗状態を手軽に判断することができます。
タイヤのひび割れや偏摩耗にも注意
スリップサインだけでなく、タイヤの表面にひび割れがないか、異常な偏摩耗がないかもチェックしましょう。
- ひび割れ:タイヤのゴムが劣化している証拠で、スリップの原因になります。
- 偏摩耗:片側だけが摩耗している場合は、空気圧不足やサスペンションの不調が原因の可能性があります。
まとめ
バイクの安全運転のためには、タイヤの状態を常にチェックし、スリップサインの確認を怠らないことが重要です。スリップサインが露出している場合は、タイヤの交換時期が来ている証拠なので、安全のために速やかに新品のタイヤへ交換しましょう。
また、タイヤの溝の深さを測定することで、より正確な摩耗状況を把握することができます。加えて、ひび割れや偏摩耗などの異常もチェックし、万全の状態で走行できるようにメンテナンスを行いましょう。
バイクに乗る際は、タイヤの点検を習慣化し、安全なライディングを楽しんでください!
なお、以下の動画でも解説していますので、よかったら確認してください。
・スリップサインの点検方法
・タイヤのひび割れや偏摩耗にも注意